神保町から「スタバ」が消えた日(※2020年2月27日都営神保町駅店オープンしました)【スターバックスの企業戦略仮説】
※2020年2月27日、神保町にスタバが帰ってきました!
以下は、それをご承知の上で読んでいただければ幸いです。
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皆さんこんにちは、江南です。
突然ですが、皆さん。
スターバックスのコーヒーはお好きですか?
私は大好きです。フラペチーノも大好きですし(特に抹茶が好き)、ホットのドリップコーヒーもスタバ独特の味がするような気がして好きです。
そんなスターバックスコーヒーの「神保町1丁目店」が閉店していることはご存知でしたか?
そんなに大げさに言うことかって?
私にとっては重要でした。スタバを通り過ぎてから右に…と目印代わりにしていました。(実のところ、神保町店はあまり使う機会がありませんでした)
なお、閉店日は2017年10月24日です。…って結構前ですね。
まあ、それだけではないんです。(神保町店の閉店だけだったら記事にしません)
閉店日は2018年3月26日…ってこれも結構、3カ月も前じゃないか!
この事実をつい最近知りまして、記事にすることにいたしました。
引っかかった点としては、以下のとおりです。
- 結構絞られた範囲で2店舗も閉店していること
- そもそも、スタバって閉店するほど閑古鳥がなく店であったかということ
- (調べていて気づいたこと)あからさまに、地価が高そうなところが閉店していること
因みに「スターバックスコーヒー神保町1丁目店」と「スターバックスコーヒー淡路町駅前店」のちょうど真ん中あたりにある「神田小川町2丁目店」は健在です。
位置関係的にはこんな感じ↓
神保町に「スタバ」は似合わない!?
喫茶店の街、神保町。そこには名店と呼ばれる喫茶店が軒を連ねます。
伯刺西爾(ぶらじる)、さぼうる、ミロンガ…。
レトロ、どこか落ち着く、昔ながらの、なんて形容詞が馴染む喫茶店が多いです。
(個人的にはミロンガ・ヌォーボが好き。うるさいほどのタンゴ、でも耳障りではない。)
そんな街のど真ん中、三省堂書店の眼の前、坂を上がれば明治大学、という場所に
に3階建てのスタバがありました。
そして、ちょうど15周年のアニバーサリーをした後すぐに、そのスタバは閉店しました。
15年やって神保町にスタバが合わないことがわかったのでしょうか。
確かに神保町の「喫茶店」のイメージとは真逆のイメージが世間的にはあると思います。(実はそうではなく、真逆なのはドトールやベローチェの方なのですが)
しかし、誤解を恐れずに言えば、競争力で言えば圧倒的にスターバックスのほうが上であることは間違えないと言えます。ヒト・モノ・カネの観点からもそうですが、単純にテイクアウトもできるという利点から、客数が段違いということです。
また余談ですが個人的には、お酒の飲めるスターバックス「Neighborhood and Coffee」の候補地になりうるのではないかと考えていました。
話を戻せば、ドトール、ベローチェ、サンマルクカフェといった他社チェーンは、未だに健在です。(ドトールなんて神保町で3店舗くらいあったのでは?)
そういった関係からも、街とショップブランドが反発して、売上が伸びないということはないと考えられます。
テナント代が高そうな店舗が閉店している?
神保町とスタバの関係については、少し前から考えていましたが、こちらはつい最近「スターバックスコーヒー淡路町駅前店」の閉店を知ってから、考えたことです。
直近(2018年6月7日現在)のスターバックスの閉店状況を調べました。
・参考にさせていただいたサイト様:開店閉店.com http://kaiten-heiten.com/
〈閉店〉
スターバックスコーヒー成田ボンベルタ店(2018年5月31日)
スターバックスコーヒー 北浦和駅前店(2018年5月10日)
スターバックス コーヒー 所沢ステーションビル店(2018年2月25日)
スターバックスコーヒー 城山ガーデン店(東京都港区)(2018年1月27日)
スターバックスコーヒー 青山外苑西通り店(2017年12月1日)
「北浦和駅前店」と「淡路町駅前店」は名前の通り、駅前という立地。
(所沢ステーションビル店については、テナントビルの「所沢ステーションビル」自体が改修工事のため閉店しています。)
城山ガーデンは東京都港区にあり(最寄りは虎ノ門か神谷町)、超高層オフィスビルの城山トラストタワーや駐日スウェーデン大使館、テレビ東京の一部機能が入所する、一体地域。
国分寺店と青山外苑西通り店は、いかにもテナント代が高そうであるし、基本的に駅近の立地でした。
そして前述した「神保町1丁目店」(2017年10月閉店)も神保町のど真ん中と言っていいでしょう。
ここから考えるに、テナント代が高い店舗が積極的に閉店になっていることは考えられます。
じゃあ新規出店している場所は?
新規出店しているスタバはこちら
・参考にさせていただいたサイト様
スターバックス公式ホームページ:http://www.starbucks.co.jp/
開店閉店.com http://kaiten-heiten.com/
〈開店〉
スターバックスコーヒーららぽーと新三郷店 2018年6月8日
スターバックスコーヒーTSUTAYA リノアス八尾店 2018年6月8日
スターバックスコーヒー新百合ヶ丘エルミロード店2018年2月5日
スターバックスコーヒー名古屋志段味店2018年2月1日
スターバックスコーヒーイオンモール鶴見緑地店2018年1月31日
調べててわかったんですが、出店スピードが早い。
これこそ圧倒的です。
なので、全体としては攻めの姿勢で出店をしており、資金繰りが悪化していて、出店を控えて店舗を閉店しているということではないようです。
ここから見えてくるスターバックスの戦略
ここからは、本当に個人的な考えでしかないのですが、上記のような状況をみていると、このようなことが言えると思います。
スタバは、テナント代が高いところでは、顧客の「サードプレイス」であることをやめた
※サードプレイスとはなんぞや、という方は、当ブログ記事であります
を御覧ください。
話を戻して、なぜスターバックスとサードプレイスという家と学校・職場以外の落ち着く場所という概念が結びつくかというと、ホームページに書いてあるからなんです。
1996年8月に東京・銀座に日本1号店がオープンしてから17年。スターバックスはお客様の「サードプレイス」として親しまれ、2013年にはおかげさまで国内1,000店を超える店舗数に達しました。
そう、スタバは自らの存在意義として、顧客の「サードプレイス」であることを、自負していたのです。
しかしなぜ「テナント代が高い場所の閉店」と「サードプレイスであることをやめる」が結びつくのでしょうか。
その鍵が「スターバックスコーヒー グランスタ丸の内店」にあると考えています。
東京駅の丸の内側地下にグランスタと呼ばれるお土産屋さんや飲食店が立ち並ぶエリアがあります。このグランスタ、つい最近まで改修工事をしており、とても広く綺麗に生まれ変わりました。
そのグランスタに改修前からあったのか、改修中にできたのか忘れましたが、テイクアウト専用のスタバ、「スターバックスコーヒー グランスタ丸の内店」があります。
そうテイクアウトのみなのです。
地下とはいえども、東京駅。テナント代は計り知れません。
そこでは、お客はお金を払って、滞在することなく暖かいラテにスリーブをつけてもらって、またはひんやりとしたフラペチーノのカップを持って、颯爽と歩き去るのです。
この手の店舗は、小田急新宿にもあります。
これが、これからスターバックスが展開していくビジネスモデルなのではないでしょうか。
つまり、テナント代が高く、無理をして席を作っても、引っ切り無しに満席になってしまい、結局座れない人が出てくる場所などは、そもそも席を作らず(サードプレイスであることをやめ)、テイクアウトのみにしてしまおうということです。
そして、テナント代が高く、そこまで人が入らない(もしくは回転率が低い)店舗は閉店し、郊外のショッピングモールや地方のテナント代が安いところに、どんどん出店をしていく。
そういった店舗の展開戦略が見えてくるのではないでしょうか。
自分の興味があることを調べるということ
今回記述してきたスタバの成長戦略については、あくまで私の仮説ですが、調べていて本当に楽しかったです。
なんでこんなに楽しいのかなと考えてみたのですが、それはきっと「自分でふと気づいたこと」だったからなのではないかと思います。
たかが、いちチェーン店が閉店しているだけなのです。でもこれをきっかけに、表面的でも的外れでもいいから、大規模にチェーン展開している企業の企業戦略を考える事ができたということは大変有意義でした。
皆さんもぜひ、歩いていてふと気づいたことを、調べたり考えたりしてみませんか。
その際は、スターバックスで腰を落ち着けてからにいたしましょう。